熊本県土木部・農林水産部の2021年度発注工事で、5月末までに不調・不落が16・0%(237件中38件)発生していることがわかった。6月30日の県議会建設常任委員会で監理課が報告したもの。余裕期間を設けた工期の設定や、適正な予定価格の設定など、不調不落対策にしっかりと取り組む姿勢を示した。
県工事(土木部・農林水産部)の不調・不落発生率は、熊本地震翌年の17年度に18・7%と最大となり、以降18年度12・5%、19年度8・7%、20年度7・2%と減少傾向にあったが、令和2年7月豪雨災害発生を受け再び上昇に転じたかたち。月別でみても災害発生後の20年7月以降、平常時と変わらず概ね10%以下で推移していたが、翌年の今年度に入り4月15・5%、5月16・8%と上昇した。
21年度(4〜5月)は、災害復旧事業が集中している球磨地域振興局において101件の入札に対し25件の不調・不落が発生し、発生率は24・8%と他地域に比べて突出している。地域建設業者への監理課の聴き取りによると、技術者の不足や山間部等で施工条件が厳しいといった意見があったという。
県では不調・不落の動向を注視していく方針で、余裕期間を設けた工期の設定や、適正な予定価格の設定などに取り組む。また、震災関連等工事で実施した土木一式A1等級工事に県内全域のA2等級企業が構成員として参加できる復興JVや、県内全域からの参入を促すために地域性評価項目を設定せず復興JV参加で加点する総合評価見直し等についても、発注の見込みや建設業界の意向など今後の状況をみて導入を検討していく考えを明らかにした。
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