滋賀県は、近江八幡市の水茎内湖の干拓事業によって整備された承水溝の内、東部承水溝を再整備する「県営水茎東部地区土地改良事業(農村地域防災減災事業)」を計画。国の事業採択を得て今月6日から8月5日まで、東近江農業農村振興事務所などで計画書の縦覧を実施している。事業採択初年度となる今年度はコンサル業務を進め、工事は22年度(令和4年度)から28年度(令和10年度)で実施の見通し。総事業費は21億9300万円、内工事費は約18億4000万円を見込む。
東部承水溝は、昭和19〜26年に国営農地開発営団により行なわれた水茎内湖の干拓工事の際に、干拓地を外水から守る目的で開削され、その後、昭和54〜57年に県営ため池等整備事業により、軽量鋼矢板形式で改修整備が実施され、現在に至る。
尾根点と考えられる田中江橋より西側の区間は、西部承水溝と称され、共に琵琶湖を排水先とし、両承水溝を合わせ、外周を囲う線形をなしている。
水茎干拓地は周辺地盤より標高が低いため、周辺からの余剰水が湛水しやすい上、排水先となる琵琶湖へは自然排水できず、排水機場によって機械排水を行なっている。
このため、昭和34年9月の伊勢湾台風では、近隣を流れる一級河川・日野川が決壊し、その水流が当干拓地方面へ流れ、外周の承水溝干拓堤防が決壊。その結果、周辺の氾濫水位より上昇し被害が増大するなど、水害に悩まされてきた歴史がある。
近年は、上流域の宅地開発が進み流出量が増大、承水溝の排水能力が不足する現状がある。
このため、この事業により東部承水溝の断面改修整備(L2490b、鋼矢板ハット型10H)を実施し、農業生産の維持・農業経営の安定及び地域の防災・減災の向上を図る。
提供:滋賀産業新聞