国土交通省中部地方整備局は、同省がグリーン社会の実現に向けた重点プログラム「国土交通グリーンチャレンジ」を7月6日に策定したことを受けて、WTO対象案件に「カーボンニュートラル対応試行工事」を導入することを明らかにした。これから公告する一般土木工事の中からモデル工事として数件を選定する。港湾部局以外で、カーボンニュートラルを評価に盛り込む試行は、全国の地方整備局で初めて。入札契約の審査時にカーボンニュートラルへの取り組みを評価する項目を盛り込む他、施工中のPRや、完成後の評価などを行う。
対象となるのは、WTO対象の一般土木工事の中で、カーボンニュートラルへの取り組みが見込める案件。実質的に第3四半期以降に入札する案件が対象で、現状では9件の中から、数件のモデル工事を選ぶことになりそうだ。
今回の試行では、工事契約時、施工中、完成時の3段階で脱炭素化を促進。入札契約時は、総合評価の1次審査で、企業能力等の項目で脱炭素化の取り組み実績を評価。2次審査でも、技術提案の中で脱炭素の効果が期待できる提案を評価する。
施工中は、モデル工事看板を設置したり、先進技術の事例として紹介するなどのPRを官民共同で実施。完成時には、低炭素型建設機械や燃費基準達成建設機械の使用率の達成内容などを工事成績評定で評価する。
同省はグリーンチャレンジの策定に加え、7月中旬以降に赤羽一嘉国交相を本部長とする「国土交通省グリーン社会実現推進本部」を立ち上げ、全省一丸で施策の着実な実行に臨む考え。今後も、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが加速することになりそうだ。
同局がこれから発注を予定しているWTO対象の一般土木9案件は次の通り(年度等は略)。
▽新丸山ダム国道418号7号橋潮見下部工事(岐阜県)▽中部縦貫坊方トンネル工事(岐阜県)▽三遠道路新城地区道路建設工事(愛知県)▽設楽ダム右岸工事用道路工事(愛知県)▽設楽ダム瀬戸設楽線4号トンネル工事(愛知県)▽247号西知多道路荒尾OFFランプ橋下部工事(愛知県)▽東海環状田切川橋下部工事(三重県)▽1号藤枝BP潮トンネル工事(静岡県)▽小渋ダム土砂バイパストンネル災害復旧工事(長野県)
提供:建通新聞社