県は建築物のバリアフリー化を一層推進する。バリアフリー法の上乗せ条例「福祉のまちづくり条例」を5年ぶりに見直し検討するため5日、専門委員会(会長・天野圭子米子高専准教授)の初会合があり、事務局から床面積の引き下げや整備基準のたたき台が示された。
10月までに条例改正案をまとめ、来年4月の公布(10月施行)を目指す。
バリアフリー法では、床面積2000平方b以上の不特定多数者、高齢者・障害者が利用する建築物(特別特定建築物)を建築する際、建築物移動等円滑化基準(バリアフリー基準)への適合を義務づけている。
地方公共団体は条例によって特別特定建築物の用途を追加したり、床面積の引き下げやバリアフリー基準の付加も可能。県は2008年に条例を制定し、建築物のバリアフリー化を推し進めている。
条例は5年ごとに見直し検討することにしており、前回16年の改正では全ての公共施設にバリアフリー基準の適合を義務化。建築物全体の適合化率60%を70%に目標設定するとともに、用途別に適用面積を引き下げるなどして高齢者や障害者が利用しやすい建築物が増えてきている。
現状の課題では適合率61%にとどまっており、事務局は公衆便所や老人ホームなど高齢者、障害者が利用する用途は全てバリアフリー化し、適合率が低い共同住宅は適用面積を1000平方bから500平方b(かつ3階)に、クリーニング店や理美容室もそれぞれ50平方b、100平方bに引き下げる見直し案を提示した。
この結果、特別特定建築物全体の適合率は約70%になると説明した。
そのほか福祉団体などを対象に実施したアンケート結果を踏まえ、今後、トイレ、駐車場の整備基準や弱視者(ロービジョン)に配慮した設備整備も検討する。
専門委は10月までに改正案をまとめる。その後、パブコメを経て2月県議会に条例案を付議。4月に公布して周知後、10月から施行する。
日刊建設工業新聞