国土交通省庄内川河川事務所は7月2日、土岐川・庄内川流域治水協議会をオンラインで開き、流域治水の取り組み状況を情報共有した。流域治水関連法と都市再生特別措置法等の改正により、自治体で作成が求められる「防災まちづくり指針」では、検討が先行している瀬戸市、清須市、名古屋市の取り組みを紹介。清須市は、防災まちづくりの方向性として、浸水深5b以上に限り住居としての土地利用を制限する検討案を示した。
昨年6月の都市再生特別措置法等の改正、今年5月の流域治水関連法の改正を受けて、危険エリアからの移転促進や災害時の避難先となる拠点の整備など、水防災に対応したまちづくりとの連携が必要になっている。
水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドラインは5月28日に策定。今後、河川管理者が防災まちづくりに活用できる水災害に関するハザード情報を作成することになっている。各自治体は、河川管理者が作成するハザード情報と、ハザードで被る人命・財産、被害の受けやすさを加味して水災害リスクを評価。リスクを踏まえた防災まちづくりの方向性を決め、リスクを軽減・回避する対策を立案する。
水まちモデル都市として、防災まちづくりの検討を先行している清須市は、市域西側に五条川、東側に庄内川、中央部に新川がある。水害リスク分析によると、ほぼ全域が浸水域と判定される一方、床下浸水で被害が収まる地域も存在する。そこで、床下浸水をリスク小と位置付け、リスクの大小に応じた対策を検討している。防災まちづくりの方向性は「リスクがあっても都市的土地利用を継続していく」。具体的には、市域西側の庄内川・五条川・福田川の影響を受けやすいエリアA、五条川と新川に挟まれるエリアB、新川と庄内川の間の地域をエリアCに位置付け。水害リスクが高いエリアCのうち、浸水深5b以上に限り住居としての土地利用を制限して移転を促進する。それ以外のエリアは、リスク軽減方策を検討の上、土地利用を継続する方向性だ。
瀬戸市は、瀬戸中水野駅周辺土地区画整理事業における取り組み状況、名古屋市は、立地適正化計画の「なごや集約連携型まちづくりプラン」の見直し状況をそれぞれ説明した。また、流域治水の取り組みにグリーンインフラの視点を取り入れることを協議会で決め、グリーンインフラの視点を導入している、多治見市のかわまちづくりの取り組みを紹介した。
協議会では、流域治水の取り組みは地域住民の参加が重要との認識で一致。土岐川・庄内川流域治水を知ってもらうため、流域治水のロゴマークを一般公募で選ぶとともに、今秋に流域治水シンポジウム開催することを決めた。
提供:建通新聞社