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建通新聞社(神奈川)
2021/07/02

【神奈川】川崎市民ミュージアム 低リスク地で再建

 川崎市の第7回「文化振興会議市民ミュージアムあり方検討部会」が6月30日に開催され、「川崎市市民ミュージアムの今後のあり方について」の答申案が審議された。答申案では、令和元年度東日本台風で大きな被害を受けた現施設でのミュージアム機能の再開は行わず、新たな施設は被災リスクの少ない場所、さらには利便性も考慮した場所で再建することが望ましいなどとした。答申案は文言などを精査した上で、7月6日開催の文化振興会議へ報告。その後、同会議から市長へ答申する予定だ。
 現時点では、市民ミュージアムの新たな施設の候補地は決まっていないが、答申案では、再建に当たって収蔵品を被災させないことを何よりも優先すべきと指摘。そのため、新たな施設は浸水の恐れがあるエリアや土砂災害警戒区域などを避けた立地に建設することが望ましいとした。また、展示室と収蔵庫は運営面から見て同じ施設内に整備することが望ましいとした。ただ、施設の規模や収蔵庫の狭隘(きょうあい)化などの課題に対応するため、展示室と収蔵庫を別置することも妨げないとし、施設の規模については今後検討される事業計画などの内容を踏まえながら、「答申」に基づく活動が可能な施設整備を検討し、敷地や施設を最大限活用するよう求めている。検討に当たっては、公共交通などの利便性、緑豊かで開放感がある屋外環境なども可能な範囲で考慮する必要があるとした。
 市民ミュージアムは1998年11月に「都市と人間」をテーマに開館。規模は鉄骨鉄筋コンクリート・鉄骨造一部鉄筋コンクリート造地下1階地上3階建て延べ1万9500平方bで、設計は建築家の菊竹清訓氏が担当した。所在地は中原区等々力1ノ2。
 開館から30数年以上が経過し、雨漏りなどの設備の経年劣化が見られる。また、令和元年度東日本台風では、収蔵庫すべてが浸水し、収蔵品約26万点のうち約22万9000点が被災した。被災した状況から復旧するために概算で約25億8000万円が必要となる見込みであることに加えて、洪水ハザードマップ上で想定される浸水深は5〜10bとなっていて、現施設の2階まで浸水する恐れがある。そのため、地階にある収蔵庫などを3階に整備する必要があるが、構造体力上3階への整備が困難なことなどの課題が確認されている。このため、現施設でのミュージアム機能の再開は行わず、できる限り被災リスクの少ない場所で再建を行うことが必要であると、検討部会として整理した。提供:建通新聞社