任期満了にともない行われた先の若狭町長選挙において、「町民と協働のまちづくり」を掲げて初当選を果たし、地方創生への取り組みに意欲を見せる渡辺英朗氏。県内最年少となる町長の誕生に期待の声も多い中、「まずは住民の安心した暮らしを」と話す渡辺氏に、今後の取り組みを伺った。
◆重視する政策
2期目の途中で町議員を辞し、選挙戦で地域を隈なく巡る中で「人口減少を中心とした町の課題をこれまで以上に肌で感じた」と口にする。自身が掲げた政策の中でも特に重視するのは介護福祉の充実と人口減少対策。介護福祉に関しては「これまで整備してきた施設・ハード面を充分活用して、地域福祉と介護医療の一体化を進めていく」との方向性を示す。医療従事者の確保や医療費助成の拡充に努め、「住民の安心に繋がる仕組みの構築を」と必要性を訴える。人口減少について、町は「結婚」を中心テーマとして若狭ウエディングドレスミュージアムやレインボーラインのレストランなどの整備を進めており、また熊川トレイルを始めとしたアウトドアへの取組みも進む中で「国・県とも連携して、特に若い世代に関心を持ってもらえるようなまちづくりを」との考えを示す。
◆新たな取り組み
新型コロナウイルスの影響下でワーケーションの動きが加速される中、積極的に企業支援制度も進めていきたいと言及。課内には新たに「DX推進室」も設置する。「福井梅を始めとした町の農産品には力を感じている。ITを活用して多方面からプロモーションしていきたい」と自信を覗かせる。
◆小学校の統廃合
児童数が減少する熊川小学校を瓜生小学校に、明倫小学校を三方小学校に統廃合する再編計画については当初、22年4月を整備目標に進められていた。3月議会では廃校後の跡地に関する発言も出ていたことに関して、「準備委員会を設置し、まずは意見交換の中で住民の思いを丁寧に汲み取っていきたい。進め方についても学校ごとに調整の上で」と話す。公立保育園の民営化についても「見直しや適正化が必要となる」との考えだ。
◆施設の老朽化対策は
行財政改革プランに基づいて耐震診断を実施し、将来的な一元化も視野に今後のあり方を検討していた三方、上中庁舎。耐震改修となると両庁舎で約8億円かかる試算だ。町がとりまとめた国土強靭化地域計画案の中では、25年度を目標年次として庁舎の耐震化率100%と示していたことに関し「昭和50年代に建設された老朽化が懸念される公民館も含め、地域にまず何が必要とされているのかを調査し見極めていきたい」との見解を示す。基本姿勢は、公約にも掲げた「町民と協働」。「町民の声に寄り添い、その声を具体化させていくのが仕事」と力が入る。
◆スピード感
町内には若狭テクノバレー、三十三産業団地といった企業団地がある中で、北陸新幹線敦賀開業や舞鶴若狭自動車道の4車線化を見据え「製造というよりは物流の時代」と語りつつ、「誘致も積極的に推進して物流網の整備を図りつつ、民間とタイアップしてまちづくり・雇用促進も進める」と強調。「若い力を活かしスピード感を持って進めていきたい」と前向きな姿勢を表した。
わたなべ・ひであき 40歳
平安時代から続く闇見神社の神職。国学院大卒。自民党県連青年部副部長。三児の父で子育てが癒しだと顔をほころばせる。座右の銘は「至誠天に通ず」。