高知県は南海トラフ地震対策推進本部会議を開き、2021年度に第4期行動計画で示した11の重点課題や各部局が取り組む対策について報告した。ため池の耐震化に向け農業振興部は、地権者の確認に時間を要するケースがあるため、追加の用地買収を行わず現状の池の中で収まる対策工法を検討すると説明した。
重点課題のうち「住宅の安全性の確保」では、前年度に続き1500棟以上の耐震改修を目指す。「地域地域での津波避難対策の充実」では21年度に土佐市と東洋町で1基、宿毛市で2基の津波避難タワーが完成予定であることに加え、タワーから避難者が降りる手段の整備方法について検討を進める。「前方展開型による医療救護体制の確立」では、21年度に病院の耐震化工事5件、耐震設計1件の補助金申請を予定していると報告した。
各部局の主要な取り組みでは、土木部が浦戸湾三重防護と河川堤防の耐震化に向けた見込みを説明。三重防護のうち第1ラインでは国が進める南防波堤を72b延伸し全長1300bのうち84%、県が進める東第2防波堤は40b延伸し、全長270bのうち32%が完了する。第2ラインでは国が種崎外縁工区の耐震補強を継続するとともに、津波防波堤、種崎、桂浜、長浜工区の調査設計を継続する。第3ラインでは国がタナスカ工区の耐震補強工事と調査設計を継続、県は潮江工区と高須工区の吸江地区の耐震補強工事を進める。河川堤防では国分川、下田川、介良川など計2・6`の耐震化を進め、21年度末で19・5`の耐震化が完了するとの見込みを示した。
教育委員会は、保育所・幼稚園の高台移転について、計画で定めた38施設のうち21年度末で13施設が完了しない見通しだと説明した。移転のめどが立っているのは2施設のみで、残り11施設は適地の確保や財政負担といった課題があるとした。
農業振興部では、21年度にため池の耐震化を10池で実施する。これまで現場条件が悪く入札不調が発生しており、その対応策として発注時期の検討や設計内容の精度を向上させる意向を示した。
林業振興・環境部では、保安施設堤防の陸閘閉鎖を安芸市と芸西村の4カ所で実施する。また安田町唐浜で防潮堤の長寿命化に向けた被覆工を進める。
水産振興部では、防災拠点となる室戸岬、清水、田ノ浦、沖の島の各漁港で防波堤の粘り強い構造への補強を継続し、室戸岬と清水で整備完了する見込みを示した。
また、22年度に開始する第5期行動計画の策定については、9月の次回本部会議で骨子案を協議。専門家とのヒアリングや知事協議などを経て12月議会で概要を報告。22年2月に最終案を協議し3月に決定する。
提供:建通新聞社