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北海道建設新聞社
2021/06/11

【北海道】コロナで変わるプロポプレゼン オンライン化や書面審査に

 新型コロナウイルス感染拡大の第4波と発注ピークが重なった道内。各行政機関では発注における感染症対策が重要な要素になっている。委託業務を中心に採用されるプロポーザル方式では、提案内容を確認するヒアリングやプレゼンテーションが付きものだが、従来の直接対面方式からオンラインや書面審査へと切り替える動きが目立っている。緊急事態措置期間は残り2週間ほどだが、終了後も感染状況に合わせて実施方法を検討する発注機関もあり、参加者側は状況に応じた対応が必要になっている。(感染症対策取材班)

 業務内容の多様化や高度化などに伴って、企画・提案能力のある業者を選ぶために有効なプロポーザル方式の採用が増えている。そして、専門的な知見や業務の確実性を確認するため、多くの案件でヒアリングやプレゼンが行われる。これまでは対面方式が一般的だったが、コロナ感染拡大を受けて他の手法を検討する機関が増加している。

■接触機会低減に向けリモート対応拡大

 道建設部建築局は、15日に予定している室蘭建管苫小牧出張所改築基本設計のヒアリングを、対面方式からオンラインに変更することに決めた。同局は2020年度の感染拡大時に対面から書面審査へ変更したが、リモートでのプロポーザルは初めて行う。

 同様の変更は市町村でも見られ、岩内町は住生活基本計画改定の事業者選定で5月中旬に予定していたプレゼン・ヒアリングを4日に延期し、ウェブ会議方式を取った。釧路市は7日、3者の参加で市立釧路総合病院新棟建設等基本設計のプレゼンを開催したが、オンラインに切り替えている。名寄市は、こどもの遊び場整備で市外業者を対象にZoomを活用する。

 接触回避はオンライン活用が主流だが、書類審査を選択するケースも見られる。十勝圏複合事務組合の新中間処理施設整備基本計画策定等は2日のプレゼンを中止し、書類のみの審査とした。札幌市も5月18日実施予定だった21年度路面電車延伸に係る概略設計のプレゼンを書類審査へと変更している。

 一方で、当初の予定通り対面方式で実施した機関もある。千歳市の官民連携まちなか活性化推進支援は、換気や距離確保といった対策は講じたが、実施方法や条件は変更しなかった。岩見沢市の在宅就業雇用促進業務のヒアリングは出席者を3人までと限定し、時間も15分に短縮。長幌上水道企業団は5月28日にプレゼンを実施した水道施設管理システム構築で、事前に出席者のPCR検査を義務付けた。

■緊急事態宣言終了後の対応はさまざま

 現在の緊急事態措置は20日に終了するが、その後の対応は発注機関や案件によりさまざまだ。苫小牧市は7月6日にヒアリングする錦大沼公園オートリゾート等インターネット環境整備について、現時点ではリモート開催を予定するが、事業者から対面での希望があれば会場を広くするなどの対応を考える。

 美唄市は7月10日に、市立美唄病院建て替え基本設計の公開プレゼンを予定するが、担当者は「さらに緊急事態宣言が延長になれば、公開人数縮小や公開なし、オンラインなどさまざな検討が必要になってくる」と話し、状況を注視する。

 7月上旬に景観計画策定のプレゼンを予定する中富良野町は、拡大状況によってはオンラインや書面審査への切り替えも想定。このほかにも基本は対面としながら、状況次第では変更も視野に入る発注機関も多い。

 道内の新規感染者数は減少傾向にあるが、今後も再拡大する可能性は否定できない。対面方式は円滑な質疑応答やコミュニケーションといった面で良さはあるが、予定通りの発注と事業執行のために、状況に応じて迅速にオンラインなどに切り替えられる体制と想定が引き続き求められる。