北海道建設新聞社
2021/06/10
【北海道】函館高専生と連携し海洋ごみを調査 菅原組
函館高専専攻科社会基盤工学専攻の1年生が、授業の一環で菅原組(本社・函館)と連携して函館漁港などで海洋ごみの調査を進めている。ごみの自動回収システムの構築が最終目標で、2021年度はごみの分布や量、季節ごとの違いなどを調べる計画だ。
「地域課題対応型創造実験」という授業で、21年度は10テーマを設定した。同専攻ではここ数年、大沼の水質調査に取り組んでいるが、菅原組から漁港への海洋ごみの漂着が深刻化しているという情報提供を受け、21年度から新たな研究テーマとして追加した。
担当しているのは松倉光輝さんと加藤佑典さん。松倉さんは大森浜の清掃活動に参加する中で、加藤さんは海岸・海洋工学の研究室に所属していたことから、それぞれ海洋ごみに関心を持ったという。
研究対象は函館、湯の川、住吉の函館市内3漁港と松前港。4月から取り掛かっていて、漁業者への聞き取りや目視とドローンでの調査を経て、現在はごみを引き上げて量や内容物、分布などを調べている。
「たばこのフィルターやペットボトルなどのほか、海外から流れてきたと思われるビニール、プラスチック製品が多い。海藻が大量に絡むことから、すくい上げた後の分別も負担が大きい」と2人は話す。
菅原組は実際の作業に加えて、漁港利用で必要な行政機関との連絡調整などでも高専生を支援。菅原峻営業部長は「海の土木工事を担う一員として、将来世代に負担を残したくない。ごみを捨てさせず、かつ拾いやすくする社会システムを作る必要があると考えた」と協力する意図を説明する。
今後は、9月の中間報告を経て21年度末にも研究結果を取りまとめる。後輩に引き継ぐ22年度以降の研究の基礎資料とする考えだ。(函館)