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建設経済新聞社
2021/06/07

【京都】二級河川で流域治水プロジェクト策定へ 中丹は伊佐津川、高野川先行 丹後は大手川、野田川など

 京都府は、中丹管内及び丹後管内の二級河川において「流域治水」の取組を進める。中丹管内は伊佐津川、高野川の2水系、丹後管内は大手川、野田川、竹野川、福田川、佐濃谷川、川上谷川の6水系において、先行して「流域治水プロジェクト」を策定する。
 近年、毎年のように全国各地で自然災害が頻発し、激甚化する中、「これまでの河川管理者等による取組だけでなく、集水域から氾濫域にわたる流域のあらゆる関係者が主体的に取組む社会の構築が必要」(国土交通省防災・減災対策本部第2回会議)との考えから、流域治水を推進している。
 一級水系においては、国、流域自治体、企業等からなる流域治水協議会で議論を進め、今年3月に全国109全ての一級水系等で、流域のあらゆる関係者が取り組む防災対策の全体像を示した流域治水プロジェクトを策定し、全国一斉に公表した。
 由良川水系流域治水プロジェクトの京都府域の主な取組をみると、▽福知山排水区の下水道浸水被害軽減総合計画により既往最大降雨(62o/h)に対する床上浸水の概ね解消を目的に整備を進めてきた(福知山市)▽大江町河守〜公庄地区をモデル地区に、排水ポンプ整備や支川改修等の内水被害軽減対策を実施(京都府、福知山市)、由良川本川の河道掘削や樹木伐採(近畿地方整備局福知山河川国道事務所)▽綾部市延町古川樋門付近に雨水ポンプ場(排水能力60m3/m)を整備中で土木・建築工事は完了(期間は平成29年度〜令和3年度で、供用開始は令和4年度を予定)(綾部市)▽都市下水路及び内水対策構想(流域面積64f(線路北側区域)、分流計画は○駅南側(線路南側で分水107・17f)○脇地区(宮川及び下水路を整備し海側へ分流)○宮本地区(貯留施設等により、ピーク流量の調整を検討)○浜野路・港地区(由良川河川整備計画と調整))(宮津市)▽新役場庁舎建設を機に京丹波町蒲生地地区で調整池(2ヵ所)を整備。下流域の大幅な水路拡幅が難しい中で、調整池と水路改修を併用した治水対策を講じる。貯水量は2池合わせて8000m3を計画し、完成は令和4年度を見込む。(京丹波町)▽大野ダムの洪水調節(京都府)▽森林整備事業による間伐等の森林整備(京都府)▽治山事業(京都府)▽平成25年台風18号の被害を踏まえ、平成16年台風23号と平成25年台風18号の洪水の2度浸水した区間を対象に由良川緊急地水対策として、由良川水系河川整備計画(平成25年策定)の整備内容を大幅に前倒しで実施している。中流部の連続堤整備として、残る福知山市前田地区は、平成26年度から工事着手し、大谷川樋門及び六呂川樋門の築造工事とともに、築堤盛土について令和3年度の完成を目指す(近畿地方整備局福知山河川国道事務所)▽綾部市高津町地区及び栗町地区において、越水等が発生した場合でも深掘れの進行を遅らせ、決壊までの時間を少しでも引き延ばすため、堤防の川裏法尻をブロックで補強する堤防強化を実施(川裏法尻補強は高津町地区で令和2年9月に完成。栗町地区は令和2年12月時点で施工中)(近畿地方整備局福知山河川国道事務所)▽水源林造成事業による森林の整備・保全(令和3年度は約700fの森林整備を予定)(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林整備センター)▽和知ダムにおける治水協力(関西電力梶j▽防災指針の検討(綾部市)▽災害からの安全な京都づくり条例(京都府)▽農業基盤整備(府営農業競争力強化農地整備事業川北地区)(京都府)▽庁内連携組織として舞鶴版Society5・0推進本部を設置し、ビッグデータ+AI(人工知能)による街全体の効率的な見守りの実現を目指し、企業らと舞鶴市総合モニタリングシステムの開発に着手(舞鶴市)。
 二級河川について京都府は、広域振興局単位で今年1月に管内の関係市町らと流域治水協議会を立ち上げた。
 流域治水協議会では、@氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策A被害対象を減少させるための対策B被害の軽減、早期復旧復興のための対策の3点について検討し、流域のあらゆる関係者による防災・減災に資する対策をとりまとめる。
 @は河川整備計画に基づく対策内容、雨水貯留施設の整備、堆積土砂撤去、既存ダムにおける事前放流等、Aは災害ハザードエリアにおける開発抑制(開発許可の見直し)、災害ハザードエリアからの移転の促進、立地適正化計画と防災との連携強化等、安全なまちづくりのための総合的な対策等、Bは大規模氾濫減災対策協議会の取組、河川の水位変化と洪水時に得られる情報とマイ・タイムラインの作成等。
 ロードマップとして目標達成に向けた工程を段階的に示し、実施主体間の連携を促進する。短期は概ね5年程度で実施する対策を記載、中長期は各機関で実施する計画が完了する期間とする。
 6月3日及び4日に第2回中丹管内及び丹後管内二級河川流域治水協議会がオンライン形式で行われた。
 3日開催の中丹管内の流域治水協議会の意見交換で、舞鶴市の堤茂副市長は「検討事項の3つの柱について、市としても具体的に検討を進めたい」「高野川流域では高野川事業間連携事業と西市街地の浸水対策、宅地嵩上げ助成なども取り組んでいる。更なる治水対策を進めたい」、綾部市の山ア清吾副市長は「伊佐津川の17qのうち7qが綾部市。平成30年7月豪雨では上杉町などで大きな被害が出た。市が行う取組に技術的、財政的な面で府の支援をいただきたい」と述べた。
 今後は、実務担当者会議などを経て、中丹管内及び丹後管内において、府が管理する二級水系(36水系)のうち、河川整備計画に基づき河川整備を予定している水系(8水系)を優先(先行)して流域治水プロジェクトを今年11月頃に策定し公表する考え。
 中丹管内は11水系のうち伊佐津川(カッコ内は流域市町、以下同じ。舞鶴市、綾部市)、高野川(舞鶴市)の2水系、丹後管内は25水系のうち大手川(宮津市。一定整備済み)、野田川(宮津市、与謝野町)、竹野川(京丹後市)、福田川(京丹後市)、佐濃谷川(京丹後市)、川上谷川(京丹後市)の6水系が対象。
 残る28水系についても、順次流域治水の取組を推進する。