県内建設業の2020年平均月間給与額(事業所規模5人以上)が30万3817円となり、前年から7000円程度アップしたことが分かった。30万円を上回ったのは18年以来2年ぶりで、過去10年では2回目。ただ、規模によって格差が広がっている感もあり、均一的な底上げが求められる状況だ。
(田原謙一・常務取締役(兼)報道部長)
県の毎月勤労統計調査(地方調査)によると、建設業の20年平均月間給与額(事業所規模5人以上)は前年比2・5%(7357円)増の30万3817円で、2年ぶりに30万円台を回復。内訳は、男性が32万1067円、女性は19万6801円だった。過去10年では、12〜15年は26〜28万円程度で推移していたが、16年以降は30万円前後で落ち着きつつある。
事業所規模30人以上をみると、20年の平均額は38万2186円で前年比プラス9・8%(3万4100円)の大幅増。15年の14・6%増に次いで高い上昇率となった。
平均額がいずれもアップしたとはいえ、規模によって差幅が拡大しているのも実情。その差は18年で約2万円、19年は約5万円、20年は約8万円程度まで広がっており、小規模事業所の苦悩する姿がうかがえる。
■乱高下なく一定水準を
産業全体の県内平均額は26万1548円(男性32万3333円、女性20万3423円)。全15分類の産業区分で建設業は7番目となっているが、毎年40万円台で推移している業種がいくつかあることを考えると、底上げは必至だ。
ただ、ここ数年で数字が落ち着いてきた背景には、新3K(給与・休暇・希望)の実現に向けた各面からの環境整備がある。以前揶揄(やゆ)されていた実績重視の赤字受注≠ヘ、14年の品確法改正で「適正利潤の確保」が明文化されたことで解消が進み、労務単価の年次的な上昇や最低制限価格の引き上げ、積算基準の見直しなども経営改善につながった。
これから先、地元建設業の担い手育成を進めていくには、この数字を乱高下させることなく、一定の水準を保っていくことが不可欠。業種や規模を問わず、胸を張って若者を呼び込める環境整備を求めたい。