黒潮町はUR都市機構と連携し、大規模な高台宅地造成を計画している。関連する測量や地質調査業務を下半期に委託し、調査結果を総合的に判断する。実現可能となった場合、2024年度から都市計画区域策定業務などを進める。
高台の候補地は、町役場と錦野団地間にある標高26〜45b地点で、詳細な造成面積などは測量の中で決める。候補地内には、南北約400b、東西約300bの谷に加え、谷底に農地があるため、液状化対策を行った上で、国が進める高規格道路・佐賀大方道路の建設で発生する土砂を埋め立てに利用する計画。21年度当初予算に測量や地質調査費など関連で約8800万円を計上している。
高台の大規模宅地には約300戸の錦野団地と同程度の住宅を建設する。また災害時の避難指定場所となる小・中・高校、役場が高台でつながることから、連携がスムーズになることが見込まれる。
町は、一定の期間が必要としながらも、用地取得に向けての住民説明会や関係機関への説明会、造成設計などを進め、佐賀大方道路の本体工事で残土が発生する24年度までに準備を終わらせ、高規格道路延伸と同時進行での整備を目指している。
5月26日には、黒潮町とUR西日本支社(田中伸和支社長)が高知県内では初となる、津波防災まちづくりの推進に向けた連携協定調印式をオンライン方式で開催した。松本敏郎町長は「東日本大震災で復興支援に携わってきた都市再生機構のノウハウを提供してもらい、町民の安全な住宅地確保のため、官民連携で未来のまちづくりを行う」、田中支社長は「黒潮町の津波防災まちづくりに必要な、想定被害状況の調査など事前防災に貢献したい」とあいさつ。ハード・ソフトの両面から高台宅地造成事業などに協力する。
協定で基づく連携事項は、事前復興まちづくり方針の検討、浸水想定区域にある宅地などの受け皿となる高台造成に関すること、災害に強い安全・安心なまちづくりの推進について−など。
黒潮町は、南海トラフ地震発生時の最大津波高が34・4bと想定されており、浸水対策として高台への宅地造成に取り組む。
提供:建通新聞社