四国新幹線整備促進期成会(会長・千葉昭四国経済連合会相談役)は2021年度、新幹線駅の設置場所や整備効果を波及させるための方策に関する調査を開始する。地域での新幹線を巡る議論を活発化させることが狙いで、四国アライアンス地域経済研究分科会に業務を委託し、各県都での新幹線駅の具体的なイメージを示すとともに、駅を中心としたまちづくりや、新幹線を中心とした公共交通の在るべき姿を提示する。オンラインで開いた総会で、新規調査事業を含む事業計画を承認した。
期成会では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、コロナ前まで交通需要が完全に回復することは望めないとの見方を示す一方、「首都一極集中から地方への分散の機運は高まると予想され、観光もリアルな体験を求める国内外の欲求は変わることなく続くと考えられる」と指摘。交通アクセスの利便性の高さは「選ばれる地方」となるための最大の武器であり、新幹線の実現が「四国の生き残りのために不可欠」だと強調した。
その上で、四国の住民の中には新幹線の実現について懐疑的な声や否定的意見が少なくないことも踏まえ、整備計画への格上げに向けた早期の法定調査の国などへの働き掛けを強化するとともに、新規事業として、より身近な地域と新幹線についての調査を各県単位で実施し、地域での新幹線を巡る議論を活発化させる方針を固めた。
21年度に着手する調査は「県都のまちづくりの観点から新幹線駅をどこに置くべきか」「新幹線効果を県内に波及させるために何が必要か」の大きく二つの観点から実施。新幹線駅の候補地点を選出して開発の方向性を探るとともに、各地点のメリット・デメリットと既存の都市計画との関係を整理する。新幹線の実現により可能性が高まる域外企業の誘致と既存産業との相互作用、生活面や文化面での具体的な効果も検討する。
これらの検討結果を地域に示し、四国4県で県民の関心を高め、各県での議論を進展させる。
期成会では、リニア中央新幹線が新大阪まで延伸される2037年をターゲットとした四国新幹線の開業を目指しており、国などへの要望活動に加え、四国での機運醸成に努める考え。
提供:建通新聞社