先の小松市長選で初当選を果たした宮橋勝栄氏。初登庁から1カ月余りが経過し、6月補正予算の編成に鋭意取り組んでいる。北陸新幹線小松開業への準備や新型コロナウイルス対策などが求められる中、どのような施策を打ち出していくのか。新たな市政のかじ取りを伺った。
今回の選挙戦を経て「市民の皆さんが次の未来をどうしたいのかという思いをひしひしと感じた。一人ひとりの期待に応えなければと思っている」と率直に話す。市民に提案した55項目の具体策では「一つひとつ着実に進めていくことが大切」とする一方、「市民との対話で色々な声を聞き、議会での議論を通し、より良いものにしていきたい。市民と議会、市の職員と一緒に磨き上げていく」と強調する。
4月には小松市民病院で新型コロナウイルス感染のクラスターが発生。このような中、就任早々にコロナ対策関連予算を臨時議会に上程、可決された。各種事業に関する公平性も重要視し、「市民の理解を深めるには不透明な部分を検証し、オープンにしていく。コロナ関連もなるべく詳しく情報開示していくことが大切」と話す。
市長選に伴う骨格予算の肉付けとなる6月補正予算の編成にあたり、各部局とのヒアリングに取り組んでいる。自身の政策の目玉の1つである未来型図書館については「どのように構想を固めていくのか。何よりも市民との対話の機会が必要だ。専門家の意見も聞かなければならないし、調査研究に関する予算を設けたい」とした。
学校施設では、老朽化が進んでいる稚松小学校や松陽中学校の建て替えが課題となっている。両校について「どのような整備スケジュールを立てていくか検討する。稚松小学校に関しては、稚松公民館の老朽化もある。学校教育と社会教育のあり方をしっかり考え、建設計画を進めていきたい」との認識を示す。
小松市の強みを聞くと「やはり空港」と断言する。その上で「小松空港からわずか4キロの距離に新幹線がやってくる。日本海側の都市でも群を抜いた存在だ。これらの強みを最大限に生かしたまちづくりをしていきたい」と述べ、白山白川郷も視野に観光やビジネス面などで発信していく姿勢を見せる。
小松空港に隣接する安宅新地区で今年度、土地区画整理事業による産業団地の造成が始まる。「新しい産業を呼び起こすまたとないチャンス。ここに企業誘致を行うほか、既存の企業の新たな用地としてもしっかり有効活用できるようにしていきたい」。
「新型コロナの影響で民間の需要不足がある中、公共の果たす役割は大きい」と話し、財政出動による経済対策にも傾注するという。「過剰な投資は避けるが、まだまだ整備されていないインフラもあり、必要な事業は計画的にやっていきたい。健全財政とのバランスを見ながら、早期に事業着手できるよう取り組む。それがひいては地元の活性化につながっていく」とし、地域と産業を支援していく考えだ。
みやはし・しょうえい 1979(昭和54)年生まれ。立教大観光学部卒。民間企業を経て11年に小松市議選で初当選。17年の市長選で落選した。41歳。