「コロナ禍で交通の問題点があぶり出された今こそ議論すべき」。金沢市は25日、新しい交通システム導入検討委員会の初会合を開き、LRT(次世代型路面電車システム)もしくはBRT(バス高速輸送)とする導入機種の選定に向けて議論を開始した。
山野之義市長はあいさつで、「時代の大きな流れとして公共交通の充実は大切。自動運転やマースなどをしっかり捉え、先を見据えた施策として取り組んでいきたい」と意欲を示した。委員長には高山純一公立小松大学特任教授が互選された。
会合では、市側がこれまでの検討状況などを説明。導入基本ルートは18年度に提言を受けた「金沢港から金沢駅、香林坊、野町駅」から、有松方面までの延伸を検討。導入空間についてはLRTが中央走行方式、BRTが同方式と路側走行方式の計3パターンとし、金沢駅東西の接続ルートに関しては、地上接続よりも地下接続が整備効果が高いとした。
概算整備期間については、いずれも車両の制作で4年以上掛かり、BRTは段階的な整備が可能で、一部開業もできるとした。単年度の収支予測では、LRTが約3億9000万円〜約6億7000万円、BRTが約4億6000万円〜約7億円と算出した。
委員からは、コロナ禍や北陸新幹線敦賀延伸などを踏まえて議論する重要な時期とする声のほか、街なかの商店街への波及効果や乗り換えなどのサービスをもっと考えるべきとした意見があった。
委員会は計3回の会合で機種選定の方向性を取りまとめ、山野市長に提言する。