国土交通省四国地方整備局は、防災減災対策や8の字ネットワークの整備など四国地方の社会資本整備の具体的な方針を定める「四国ブロックにおける社会資本整備重点計画」の方向性をまとめた。国の第5次社会資本整備重点計画で新たに設定される社会資本の重点目標・施策を、地方の特性に合わせて効率的、効果的に進めるためのもの。2025年度までに達成すべき六つの重点目標と、これらを達成するために重点的に取り組む17種類の施策を設定する。
重点目標として掲げるのは@防災・減災が主流となる社会の実現A持続可能なインフラメンテナンスB持続可能で暮らしやすい地域社会の実現C経済の好循環を支える基盤整備Dインフラ分野のデジタル・トランスフォーメーションEインフラ分野の脱炭素化、インフラ空間の多面的・複合的な利活用による生活の質の向上―の六つ。その上で、これらの達成に向けた17の施策を設定する。
南海トラフ地震・津波対策や四国8の字ネットワークの整備を行うとともに、豪雨災害への備えとして、砂防施設、堤防、洪水調節施設、下水道施設などを着実に整備する。持続可能なインフラメンテナンスについては、既存インフラの予防保全への本格転換を早期に実現させ、安全安心とトータルコストの縮減・平準化の両立を目指す。
また、社会資本整備の担い手となる建設産業が安定して人材を確保し育成するための配慮として、それぞれの事業の計画策定時点の残事業費を掲載し、公共投資の見通しを立てやすくする。
5月18日に有識者懇談会を開き、四国の社会資本の現状と課題、ストック効果の最大化に向けた取り組みの方向性について意見を集めた。有識者からは「インフラに付加価値や新しい価値をいかに付けられるかが重要。大都市のコピーではなく、四国ならではのインフラを作り出すチャレンジをしてほしい」「豪雨対策、治水事業について、砂防や堤防施設といったインフラの整備にとどまるのではなく、数十年先を見据えた都市計画を含めたまちづくりの観点が必要ではないか」などの意見が出た。
6月24日に開く社会資本整備戦略会議に今回集めた意見を報告する。さらにパブリックコメントや地方公共団体への意見聴取を経て、今夏の大臣決定を見込む。
提供:建通新聞社