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建通新聞社(中部)
2021/05/25

【愛知】JAPIC 中川運河水辺再生構想を提言

日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)は5月21日、世界運河会議で「中川運河水辺再生構想」のシンポジウムを行った。グリーンリカバリー・ポストコロナ時代を踏まえた、新たな再生構想を提案した。特区などの導入や公民連携により、運河沿岸用地(臨港地区)の建築物用途規制や水面の占用をさらに緩和して民間に開放、貸付料などの収益の一部を新護岸整備に充当する事業イメージを提案している。
 中川運河再生では、2012年10月に名古屋市と名古屋港管理組合が中川運河再生計画を策定。今回の新たな再生構想は、同再生計画を踏まえた提案になる。
 SDGsやカーボンニュートラル、DXの取り組み、コロナ禍を受けた新たな潮流・気づきが起こっている。そういった新たなトレンドを反映させるべきとした。
 構想では、中川運河とその周辺地域について「名古屋都心部に連なる中川運河を静謐な水辺空間を持つ気品とにぎわいのあるまちに」と提言。▽水と緑の回廊空間(アクアグリーンベルト)▽新旧が融合する職住遊環境(ライフスタイルリノベーション)▽地理的特性を生かした交通環境―を挙げている。倉庫街のリノベーションを通じて、職・住・遊の新たな沿岸形成を目指す提案になっている。水上交通は、観光だけでなく通勤・通学の手段となるよう、電車、バス、マイクロモビリティ、自転車などの各モビリティの連携と結節点整備を提案した。
 事業展開では、まちづくり協議会・まちづくり会社などの設立支援やPPP・PFIの活用、地域モビリティを生かしたスマートシティの実現、水質改善・緑地化によるより身近な水辺環境の創出などの必要性を説いた。
 法制面では、国家戦略特区の活用や用途地域指定の変更を提案。臨港地区の建築制限化(性能規定、防災・脱炭素化・景観など)とセットで、土地区画整理による地域の空間付加価値増大といった官民連携を提言した。
 将来構想では、中川運河再生構想からスマート・キャナルタウンを形成するため、カーボンニュートラル(ZEH、水上交通の電気・水素動力化など)、Maasとの連携、新たな生活スタイルへの展開などを提案している。
 名古屋市住宅都市局の藤條聡局長は「次の10年の取り組みを早急に具体化していく必要がある」と応え、その上で、JAPICの提言はまちづくりを加速化・スピードアップ化させる契機だと話した。行政が果たす役割として▽水に親しめる護岸・空間・沿川づくり▽水面の活用▽水上交通ネットワーク―の3点を挙げた。

提供:建通新聞社