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建設経済新聞社
2021/05/21

【京都】国道163号(銭司〜木屋)道路整備事業 急峻斜面区間はトンネルで回避 令和3年度は詳細設計など着手

 京都府は、国道163号(銭司〜木屋)道路整備事業に新規着手。概算事業費50億円の大型事業が始動する。
 国道163号は、大阪市と三重県津市を結ぶ幹線道路で、第一次緊急輸送道路にも指定されている。木津川と山地に挟まれている事業区間は、大型車のすれ違いが困難な幅員狭小、連続するS字カーブなどの線形不良区間や急峻な斜面があることに加え、ほぼ全区間で十分な歩道幅が確保されておらず、近くに代替道路がないことから、現道拡幅及び急峻な斜面を回避するバイパス道路を整備する計画で、幹線道路の安心・安全で円滑な通行環境の確保とともに、緊急輸送道路の信頼性を高めるのが目的。
 同事業について、府は公共事業評価に係る第三者委員会を3月に開き、意見聴取した。
 第三者委では、府が提出した3つのルート案を審査。案3について「他案に比べて、走行性、維持管理性が最も優れ、環境等の影響も小さい。部分供用も可能であり、事業費も最も安価」とした。案3は平面、縦断線形ともに3つの案の中で最も優れると評価した。
 案3の最小曲線半径は350m(最大)、最急縦断勾配は1・8%(最緩)。補償物件は家屋13件、採石場設備。用地買収は約1万5000u。総便益(B)は75億9000万円、総費用(C)は38億円で、費用便益比(B/C)は2・00と算出した。計画交通量は1万3200台/日(令和12年予測交通量)。道路の区分は第3種第2級。
 事業概要によると、事業箇所は木津川市加茂町銭司〜和束町木屋。延長は2・7q(現道拡幅約1・2q+約0・5q及びバイパス道路約1・0q)。幅員は一般部10・5m(車道3・25m×2車線及び0・75m×2、山側に歩道2・5m)、トンネル部10・0m(車道3・25m×2車線及び0・5m×2、山側に歩道2・5m)の2車線・片側道路。急峻な斜面のある箇所はトンネルで回避する。
 「茶畑を含む集落や山間部を通過するため、現道拡幅及びトンネルなどの地形改変を最小限に抑えるルートの選定により自然環境の保全に努める」「集落に銭司遺跡、苗場遺跡、縄手古墳群など埋蔵文化財が確認されているため、影響が少ないルートを検討し配慮する」などの地域環境の保全に努める考え
 事業期間は令和3年度から12年度までの約10年間を予定。概算事業費は約50億円。
 令和3年度は2200万円の事業費を計上し、測量、地質調査、詳細設計、用地測量を実施する。
 これまでの主な取組をみると、山城南土木事務所は、平成27年度に大日本コンサルタントで道路予備設計(A)2・6qを実施。平成28年度に辰巳工営で公図等の転写、土地登記記録調査などを実施。その後、令和2年度に日本工営で道路予備修正設計(A)1・3q(過年度成果の道路予備設計について、改良計画の見直し等による修正設計を行うもの)を実施した。