建設新聞社
2021/05/10
【東北・秋田】能代工業団地に製材工場とバイオ発電施設/中国木材が能代市と立地協定
製材大手の中国木材(広島県呉市広多賀谷3の1の1 堀川智子代表取締役社長)は、秋田県能代市扇田扇淵地内の県営能代工業団地2カ所計27fに製材工場とバイオマス発電施設を建設する。7日に堀川社長と能代市の齊藤滋宣市長が市役所で基本協定の締結式と共同記者会見を行い、進出に至った経緯や今後の展望を説明した。同社が東北地方に生産拠点を置くのは初めて。建物の設計は6月に委託する。
同社は国内トップシェアを誇る製材メーカー。北米や国内から調達したベイマツを住宅構造用部材の乾燥材や集成材などに加工し、全国に供給している。加工工程には大型乾燥装置を導入。自社から排出される廃材を燃料に活用したバイオマス発電も行っている。
原木は北米から220万立方bを輸入している一方で、国内調達量は100万立方b。近年輸入先の供給量が不安定になっており、これを機に国内の豊かな森林資源に着目し活用しようと新たな工場を設けることにした。将来的には国内調達量を輸入と同規模にしていく。
新工場は同団地内の南東部に製材エリア、北西部に加工・発電エリアの2カ所に整備する計画。製材エリアには製材棟、事務所を配置、加工・発電エリアには加工棟や養生棟、製品倉庫、発電施設などを建設する。建屋の設計は6月に入札、土地の造成、製材建屋の施工業者は年内にも選定する予定。工場内に建設する建屋の発注は個別に行うとし、順次それぞれを発注する。入札には地元以外の業者の参加も見込んでいる。
新工場の投資予定額は200億円。製材、発電を含めた本格稼働は2025年度中の予定。従業員は180人を想定し、地元から140人雇用する。
同団地への進出を決めた理由としては土地の広さに加え、物流拠点となる能代港が近くにあることや送電製網が整備され、発電に使う水が確保できることなど。また、秋田県北部を流れる米代川流域には豊富な森林があり、原木を調達しやすいといった条件が重なった。新工場では主にスギを扱い、加工工程で出たおがくずなどを使ってバイオマス発電を行う。発電量は1万`h以下を見込んでいる。
会見で堀川社長は「秋田には素材を供給できる大きな可能性があるが、秋田杉の多くが輸出されていると聞く。能代で加工し付加価値を付けて国内外に販売し、『木都(もくと)能代』を盛り上げる一翼を担いたい」と述べた。齊藤市長は「『ここに工場をつくってよかった』と思われるよう協力していく。地元だけでなく、県北の活性化に大きく寄与するはず」と期待を寄せた。
提供:建設新聞社