日本工業経済新聞社(群馬)
2021/05/07
【群馬】沼田市が旧久米邸移築を年明けに
沼田市は中心市街地で計画している旧久米邸移築工事の発注に向けて、保存管理計画の検討を進めている。計画がまとまった後に設計を委託する。年内に完了させ、年明けに工事を発注する方針。2022年度中の完成を目指す。現在は随意契約での設計委託を視野に検討しているところ。工事発注は工種を建築一式とし、一般競争入札で公告する考え。当初予算には2カ年継続費として1億4651万円を設定している。
旧久米邸は、沼田市名誉市民である久米民之助翁が暮らした東京都渋谷区代々木上原の邸宅。大正期に建設された洋館として歴史的に貴重な建造物となっている。ウィーン分離派のセセッション風の外観が特徴。久米民之助翁に縁があり、同じく渋谷区にあった旧土岐邸洋館を移築した実績があることから、情報提供があり、市内への移築が決定した。
建物はW造一部RC造平屋、テラス部分を除いた概寸で床面積約90u。現地での解体は完了しており、市内に部材が保存されている。移転先は国道120号沿い、旧沼田貯蓄銀行や生方記念文庫、旧日本基督教団沼田教会紀念会堂、旧土岐邸が並ぶエリア。「大正ロマンのまちづくり」と銘打つ中心市街地に移築することで、相乗効果の発揮が期待される。
3月に久米邸洋館保存管理計画策定検討委員会の初回を開催。同計画を策定するまでの課題を整理した。市内にある当該建物の部材選定などに取り組んでいるところ。これらの調査が完了してから第2回目の委員会を開き、計画を検討する。
文化財施設となっていることから、設計は随意契約での委託も視野に検討されている。旧土岐邸を移築した際は景観建築研究機構(前橋市)が調査および設計を担当している。
当初予算には実施設計委託料672万円、監理委託料483万6000円、移築工事費5376万8000円を計上した。工事費などを含む継続費は、21年度5860万4000円、22年度8790万6000円の内訳となっている。