京都府は、木津川市梅谷の農業用ため池の3池のうち、災害復旧で改修された1池を除き、1池は防災減災事業で改修、もう1池は別事業で廃池とする。
3池(梅谷新池2号、梅谷新池1号、梅谷古池)は、江戸時代以前にそれぞれ築造された老朽ため池。
このうち、梅谷新池2号は、平成25年の台風18号豪雨により決壊したことから、災害復旧事業により改修された。
梅谷古池は、堤体前法面の一部が滑落、樋管の周辺から漏水がみられ、堤体断面も不足している。梅谷新池1号は、堤体前法面の一部に浸食、裏法面には漏水し危険な状態。
こうしたことから、梅谷古池は、早急に整備改修し、堤体災害を未然に防ぐとともに、従来の機能を回復し農業経営の安定を図る。
一方の梅谷新池1号は、地域の水源計画を見直した結果、別事業で廃池とする。
改修する梅谷古池(木津川市梅谷上ノ平70)は、H10・0m、L48・0m、V1万0700m3。
廃止する梅谷新池1号(木津川市梅谷上ノ平69)は、H8・7m、L52・0m、V5800m3。
京都府の防災重点農業用ため池に係る防災工事等推進計画(令和3年度〜12年度)において、梅谷古池は前期に防災工事に取り組むため池、梅谷新池1号は前期に廃止工事に取り組むため池に位置付けられている。
梅谷古池の改修計画では、取水施設について、堤体改修と併せ必要となる斜樋・底樋・緊急放流工の改修を計画。堤体は、浸食による断面不足(変形率7・3%)及び余裕高不足のため、傾斜遮水ゾーン型により補強及び余裕高を確保する。また洗堀防止のため制波工を設ける。
主要工事計画によると、@取水設備工(斜樋・取水ゲート(スライドバルブ)φ200×2孔(上樋は緊急放流施設兼用)、斜樋管・鋼管φ300、底樋・ヒューム管φ800A洪水吐工(洪水吐・越流堰式、幅3・0m)、放水路(幅1・0m)B堤体工(傾斜遮水ゾーン型、天端幅3・7m、堤長54・1m)C水路工(コンクリート二次製品H600×B800、L29・0m)D仮設工(仮設道路W4・0m、L390・0m)。
環境への配慮では、堤体法面に生育する植物は、工事着手前に他の場所へ移設する。堤体に生息する植物への配慮として、工事における掘削範囲を最小限にとどめる。工事中に発生する濁水は、ため池内にかま場を設け、上澄み水を下流へ流すなど、施工による濁水の発生、流出を抑制する。鳥類に対しては低騒音・低振動型建設機械等を使用し、減速走行に寄り騒音・振動等の軽減を図る。ため池周辺の樹木の伐採は必要最小限とする。
府営土地改良事業(梅谷地区)計画によると、農村地域防災減災事業として、山城広域振興局は、令和3年度に工事着手、令和7年度に工事完了を予定する。
令和3年度は測量設計を進める一方、仮設道路に着工(〜令和5年度末及び令和7年度)。堤体工は令和4年度から着工(〜令和7年度初め)。取水設備工は令和4・5年度に実施し、洪水吐工は令和5年度に実施、水路工は令和5・6年度に実施する予定。
総事業費は3億2000万円を見込む。内訳は工事費2億7550万円、測量試験費3670万円(実施設計費、測量費、土質試験費)、用地買収補償費780万円。
木津川市は、平成30年度に農村地域防災減災事業梅谷地区実施計画策定を京都府土地改良事業団体連合会に委託し実施した。
農林水産省は、令和3年度当初予算に係る公共事業の箇所別予算額において、(木津川市)農村地域防災減災事業(梅谷)に5000万円を計上した。
なお廃止する梅谷新池1号は、関連事業の農業用水路等長寿命化防災減災事業(4000万円)により、廃池とする。廃池により、堤体用土の確保、跡地を梅谷古池の改修事業の土捨場とする。また堤体裏法尻の水路は土水路であり、洗堀防止として整備を行う。