入札公告後から開札前までに設計価格の誤り、いわゆる「設計違算」が判明し、その内容が軽微な場合等に入札手続きを続行する措置を、県内の一部の自治体が実施していることがわかった。当該措置は入札の透明性・公正性が確保されることを前提としているが、入札参加者に設計違算の事実を周知・通知する一方で予定価格や低入札調査基準価格などを訂正せずに手続きを進める、ダブルスタンダードとも言える事例も見受けられる。受注者側からは「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に規定されている「発注者等の責務」の「適切に作成された仕様書および設計書に基づき、公共工事等の実施の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めること」に反するとの指摘もある。
設計違算とは、設計図書における単価の適用誤り、数量の誤り、費用の計上漏れ、文言の記述誤りなどにより、設計価格に誤りが生じていることを指す。
入札公告後から開札前までに設計違算が判明した場合、状況に応じて入札手続きを続行する措置を実施している、または実施する可能性があるとした県内の自治体は、四街道市、八街市、印西市、東庄町、旭市、白子町、睦沢町、長柄町の4市4町。ただし、四街道市、白子町、睦沢町、長柄町において当該措置を適用・実施した事例は無い。
4市4町のうち、設計違算の取り扱いに関する要綱等を制定している四街道市、印西市、旭市では、設計違算が発覚した場合、原則的には入札手続きを中止するが、「設計違算の内容が軽微」および「契約上の取り扱いを入札参加者に通知することにより透明性・公正性が確保できると認められる場合」などの条件を満たせば続行できるものとしている。
260万円弱の違算で手続き続行
中には、予定価格約1億4000万円の建築一式工事の事後審査型一般競争入札で、型枠工事の数量の誤りによって260万円弱の違算があっても手続きを続行した事例もある。
また一部では、入札参加者には設計違算を踏まえた入札を求める一方で、予定価格・最低制限価格・低入札調査基準価格を訂正しないまま手続きを続行している。この場合、実質的に「違算を訂正した設計価格」と「当初の設計価格」の両方を用いて入札手続きが行われることとなる。
そのほか、設計違算の事例が無く、判明した場合の原則的な対応方法も決めていないとした栄町、御宿町、鋸南町、富津市を除く42市町村および県は、設計違算が判明した場合には入札を中止するなどとしたが、例外的な対応の可能性を示唆する自治体もあった。
国土交通省土地・建設産業局建設業課入札制度企画指導室は、設計違算に対する自治体の対応の是非について個別の入札・契約事案に絡むとして明言を避け「適正に入札・契約手続きを行ってほしい」と話すにとどめた。