東近江市商工観光部観光物産課が、観光施設で市民の憩いの場でもある「能登川水車とカヌーランド」(同市伊庭町他、伊庭内湖湖畔)について、観光客のニーズの変化や滞在時間を延伸するために、課題等を把握することを目的に行なった利活用に係るサウンディング型市場調査の結果が、このほど公表された。
この調査は、昨年11月16日に実施要領を公表し12月15日に現地見学会を開催。今年1月8日までとした期限に5事業者(飲食店運営事業1事業者、グランピング事業2事業者、教育支援事業1事業者、ドローンスクール運営事業1事業者)が参加を申し込み、1月18日から29日までサウンディングを実施。2月下旬に各事業者から提案を受け付け、3月末に調査結果をとりまとめた。
施設の利活用のアイデアとして、▽身近にある伊庭内湖を生かしたウォータースポーツの体験施設及び学習拠点、▽景観を生かした飲食事業、▽グランピング施設、▽ドローンの体験及び訓練施設―として活用案が挙げられ、また、上水道やトイレ等の整備といった利活用に必要な課題や、市に期待する支援も挙げられた。
市は、「民間事業者の視点から見た施設の現状や事業化の可能性を把握することができた」として、「今後、施設の利活用に関する方針の策定、事業方式の整理及び施設整備に必要な予算化について検討を進めて行く」としている。
能登川水車とカヌーランドは、1992年(平成4年)4月に竣工し、恵まれた自然環境の中で、訪れる人々が水や歴史と親しむ施設として管理運営している。しかし、開園から28年が経過し、施設の象徴である大水車や水車の歴史を伝える水車資料館をはじめとする各種施設の老朽化が問題となっており、施設の維持管理費が財政的な課題となっている。
市では、今回の調査を、今後、施設の利活用を更に図るため、民間活力の導入による施設運営の手法について、まずは民間事業者などとの対話を通して、施設の魅力や利便性の向上を図ることができる実現性の高いアイデアやノウハウを募集するとともに、事業の実現に向けた課題などを把握するための事業発案の初期段階における基礎調査と位置付け。
実施要領では、サウンディングの参加者は、「能登川水車とカヌーランドを整備・利活用する提案を行い、かつ実行する意思のある民間事業者」とし、早期に事業化が見込める提案については最短で「21年度に公募要項の策定及び事業者選定、22年度に施設整備、23年度に事業化」をイメージ。また、早期の段階で事業化が見込めない事業提案についても、基本構想における中・長期計画の参考とするとしていた。
サウンディングの項目は、▽事業化が期待できる場所(区域)、▽事業内容(事業手法/収益モデル、利用者層、施設のサービス向上内容)、▽既存施設利用事業者との連携、▽事業化にあたり事業推進・施設運営上の課題・問題点、▽周辺地域との連携など地域貢献に対する考え方、▽事業を実施するにあたり市に期待する支援や配慮してほしい項目―。
対象施設は次の通り。
▽能登川水車とカヌーランド(伊庭町)=施設面積約1万6520平方b、水車資料館・高床式木造瓦葺平屋建、243・68平方b、芝生広場約3133平方b、屋外トイレ(男女兼用及び身障者用)、仮設トイレ2基、大水車(直径13b)、駐車場約45台など。
▽水車の郷公園(大中町)=面積約6893平方b(現在の利用状況はイベントが開催される際の参加者の駐車場)
提供:滋賀産業新聞